飲食業における「やりがい」のある店とは?店舗管理・運営の視点から解説

 
飲食業の人材採用に関する問題点として、人材が定着しないことに困っている飲食店が多くなっています。飲食業の仕事において感じる「やりがい」は人それぞれですが、飲食店を営業するからには、自分自身だけでなく、そこで働くスタッフにも「やりがい」を持って仕事をしてほしいものです。
 
今回は、飲食業における「やりがい」や、その理由について解説するとともに、店舗運営における具体的事例を紹介します。これから飲食業を始める方や、現在自店舗のスタッフのモチベーションに悩んでいる方の参考になれば幸いです。
 

飲食業の仕事で感じられる「やりがい」とは?

飲食業の仕事で感じられる「やりがい」について、代表的な4つの具体例で解説します。すでにご存じのことばかりかもしれませんが、体系的に確認することで、より理解が深まるものと思います。
 
お客様に感謝される
飲食業に限らず、接客業において最も多いであろう「やりがい」を感じる瞬間が、お客様に「ありがとう」の一言を言われた時だと言えるでしょう。良いサービスや接客を提供することは、お客様の立場からしてみれば当たり前のことですので、感謝をされることはそう簡単ではありません。そのため、飲食店のスタッフに対しての「ありがとう」は、お客様の期待を越えたサービスや接客を提供した証拠でもあるのです。
 
フロア長や店長などへ昇格・関連資格の取得
役職が上がるなどの目に見える形での昇格も、「やりがい」を感じる瞬間と言えます。また、昇格でなくとも、食品衛生管理者やレストランサービス技能士などの、関連する資格に合格することも「やりがい」につながるきっかけになるでしょう。
 
後輩や新人に仕事を教えるなど人の役に立つ
仕事を教えていた新人や後輩が、仕事を覚えて成長した姿を見られたときに「やりがい」を感じるという声がよく聞かれます。自分が人の役に立てたと感じる瞬間は、飲食業に限らず、あらゆる社会において嬉しいものです。また、こうしたスタッフ同士の関係性を築くには、店内のコミュニケーションが良好である必要があり、店内の人間関係が良いことも「やりがい」に繋がる大きな要素となります。
 
お店の売上目標を達成する
飲食業を営む以上は、必ず売り上げ目標は存在します。売上目標を達成するためには、来客数が増えるようなお店のサービス、提供メニューの質向上や、効率的な店舗オペレーションなど、さまざまな努力が必要です。目標達成は、こうした努力が実を結んだ結果ですので、オーナーや店長だけでなく、すべての店舗スタッフにとって喜ばしいことです。
 

人が仕事に「やりがい」を感じられる理由について

ここまで、飲食業において「やりがい」が感じられる具体例を示しましたが、人はなぜこのような時に「やりがい」を感じるのでしょうか?ここでは、アメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱する「人間の欲求階層説」を基に解説していきます。
 
マズローの「人間の欲求階層説」とは?
マズローの研究によると、人間は自己実現に向かって成長し続ける生き物であり、人間の欲求は以下の5つの欲求段階により構成されている、としています。
 
  1. 生物的欲求(空腹・睡眠など)
  2. 安全欲求(健康・身体的危害からの安全)
  3. 社会的欲求(他者との関わり・集団帰属)
  4. 承認欲求(他者から認められたい)
  5. 自己実現欲求
 
この5つの欲求は階層構造になっており、最も低次な1番目の生物的欲求が満たされると、次の2番目の安全欲求が高まり、その次は社会的欲求へと欲求が満たされるごとに一段上の欲求が高まっていきます。そして人間は、これらの欲求を満たすために行動を起こすようになり、最終的には一番上の欲求である自己実現に向けて成長しようとするのです。
 
社会的欲求・承認欲求
人間は何かしらの社会的集団に所属したいという欲求を潜在的に持っています。集団の一員であると感じ、集団内で果たせる役割があると感じられることに安心感を覚えます。逆に集団や社会に受け入れられていないと感じると、孤独感や不安を感じるようになります。
 
また、もう1段欲求レベルが上がると、他者から認められたい、自尊心を満足させたい欲求が高まります。高い地位や名声を得ることにより人は自信を持ち、自己尊重感を満たすことができるのです。
 
飲食店の職場においても、人の役に立つことは社会的欲求を満たし、お客様から感謝されたり昇格したりすることは承認欲求を満たすことに繋がると言えるでしょう。
 
自己実現欲求
自己実現欲求は、必ずしも地位や名声を得ることに限らず、自身が最終的に求める夢や理想・目標を実現する欲求を意味します。そのため、プロのスポーツ選手や著名な芸術家になる、幸せな家庭を築くなど、欲求の内容は人によりさまざまです。
 
自店舗の売上目標を達成するなども、この自己実現欲求を満たすことに繋がるでしょう。
 

飲食業において「やりがい」を醸成する事例

飲食業において感じられる「やりがい」や、その理由についてはご理解いただけたと思います。しかし実際の店舗運営において、具体的にどのようにしたらよいか頭を悩ませている方も多いことでしょう。ここでは代表的な事例を3つほど紹介したいと思います。
 
新人の教育係の任命
仕事を2~3年経験したアルバイトスタッフは、ホールの頼もしいリーダーになります。こうしたスタッフがいる場合は、新人の教育係などの役割を明確に与えると、「やりがい」を醸成できる場面が作りやすくなります。
 
その際に大切なことは、新人の教育係であるということを、本人だけでなく店内のすべてのスタッフに明示することです。そうすることによって、新人スタッフにとって質問する相手が明確になり、任命されたスタッフ本人にも、周囲の目もあり責任感がより芽生えるようになります。そして、人に教えることにより、更に成長に繋がるなどの副次的効果もあります。
 
懇親会やイベントを企画する
店内のコミュニケーションやチームワークを良くするために、懇親会やバーベキューなどのイベントを企画することも有効です。お互いにリラックスした中で、普段の仕事では見られないようなパーソナリティが垣間見られ、親近感が感じられることもよくあります。休日がない、もしくは24時間営業の店舗では難しいですが、可能な店舗では実施しているところも多いようです。
 
評価・昇格制度を整備する
スタッフの仕事内容を評価し、一定の基準をクリアしたら昇格するなどの評価・昇格制度を整備する飲食店も増えています。制度の整備には、以下のようなポイントを整理し、店内スタッフに周知することで、スタッフのモチベーション向上に効果が期待できます。
 
注意点としては、どのような仕事が評価されるのかの評価基準が不明確だと、逆にモチベーションダウンに繋がってしまいますので、実施する場合は制度設計をしっかり行うようにしましょう。
 
  • 店内の役職名を設定する
  • 可能であれば役職名と昇給額を明確にする(どうなったらいくら昇給するのか)
  • 評価基準を明確にする(どのような仕事が評価されるのか)
  • あいまいな評価基準を排除し、極力数値で設定する(〇回~~ができた、など)
  • 評価期間を設定する(半年や1年ごとなど)
  • 評価結果をしっかり本人にフィードバックする
 
また、制度整備と併せて、スタッフに関連する資格取得の機会を与えることも、一定の効果が期待できます。資格試験の受験費用を、店で補助するなどの制度を設けている店舗もあるようです。
 

まとめ

飲食業の仕事は、「仕事が大変」、「給料が安い」などのネガティブな情報も出回っていますが、「やりがい」を感じながら働いている人が大勢いるのも事実です。特に、良好な店内コミュニケーションやチームワーク・共通の目標・分かりやすい評価制度などが、店舗スタッフの「やりがい」に繋がっている事例が多くみられます。
 
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