―人材不足解消の新しいビジネスモデル―

今回のブログでは飲食業界全体を悩ませている課題を解消するための新たな事業内容をご紹介いたします。

セントラルキッチン

セントラルキッチンとは、飲食店で提供するメニューの製造や加工を1か所に集中・大量に調理する拠点のことです。大量に調理をすることで、食材原価の低減、味の均一化、厨房現場の業務削減や効率化を実現する集中調理施設です。

業態にとって手法は異なりますが、一般的なセントラルキッチンを活用する事業はセントラルキッチンと複数の店舗や施設で成り立っています。セントラルキッチンで加工・調理した食品や商品を各々の店舗や施設に配送し、提供することで、それぞれの店舗での仕込みや調理を簡略化できるのです。

セントラルキッチンのメリット

■コスト削減

1店舗のものだけでなく複数店舗の加工を同時に行うため、材料を一括で大量に発注することができ、大量発注によって仕入れ値を下げる事につながります。またセントラルキッチンで製造をまとめて行うことができるので、各店舗では複雑な調理の必要がなく、労働時間や人件費などを削減する事が出来ます。

■商品クオリティを均一

複数店舗の場合、同じメニューでも店舗ごとに味が違うという問題が発生することがあります。セントラルキッチンで調理をすれば、どの店舗でも同じクオリティで同じ味の商品を提供する事が出来ます。

■衛生管理がしやすい

調理場が1か所に集約されているため、食材の納入、保管や調理工程などで品質チェックを実施しやすくなります。また調理に関わる人員が1か所に集まる事で、各店舗に散らばる調理員と比較すると、調理に関わる人員を総合的に減らす事になるため、重要な衛生管理がしやすくなります。

■新たなマネタイズ

セントラルキッチンは、そうざい製造業などの営業許可を取得することが前提であるため、客席とキッチンが分離されていない飲食店では難しい、小売用の商品の製造免許を取得できるというメリットもあります。
また小売商品を製造することで、EC販売や一般流通に卸すことができる商品を開発すれば、売上UPの可能性も秘めています。

セントラルキッチンのデメリット

■初期費用に一定の費用がかか

セントラルキッチンを設立する上で、一定以上の顧客の獲得が大前提です。大量に調理し、大量に商品を販売することが必須要件です。一定以上の販売量が見込めない場合、余った商品の廃棄に繋がることを忘れてはなりません。また配属された人員の固定費もかかります。

■現場の商品知識が深まらない

店舗では、セントラルキッチンから届く商品に少し手を加えるだけの作業になることが殆どです。そうなると、その商品がどのように作られているか知る機会も少なくなってしまいます。実際に仕込みを行わないとしても、商品の産地や原材料について店舗での定期的な研修は必要です。

■食中毒リスクの増加

先述した衛生管理がしやすいというメリットもありますが、セントラルキッチンで調理した商品に問題があった際、多店舗展開している場合は、配送先の店舗全体に食中毒リスクが拡大するということです。

セントラルキッチンの導入

現在コロナ禍での飲食店は今まで以上に人材不足に悩まされています。店舗で厨房業務を削減することは少なからず人材不足の問題を解消できます。人件費、光熱費などのコスト削減にも繋がります。将来的には厨房スペースを縮小して客席を増加させて売上UPを見据える事も出来ます。セントラルキッチンの導入は多くの可能性を秘めています。

事業再構築補助金

これまでのブログで何度か参照していただいた経済産業省が取り組んでいる【事業再構築補助金】を活用してセントラルキッチンの導入事例があります。

2022年3月12日時点では第5回公募があります。公募期間は3月24日までなのでご注意ください。

見直しの項目もあるので左記URLをご参照ください。https://jigyou-saikouchiku.go.jp/

ゴーストレストラン

ゴーストレストランとは、実店舗を持たず、オンラインでデリバリーのみの注文を受け付け、サービスを提供する飲食店のことを指します。
2010年代からニューヨークを中心に広まったとされるゴーストレストランは、「ゴーストキッチン」「クラウドキッチン」とも呼ばれ、直訳すると「無店舗型のレストラン」という意味になります。

ゴーストレストランのメリット

■開業費用を抑えることができる

客席を必要とする一般的な飲食店と比較して初期費用を抑えて開業することができます。ゴーストレストランでは間借り店舗、またはシェアキッチンを利用しての開業となり、内装や外観の見栄えを気にする必要もなく、テイクアウト用の容器を扱うため、食器類の準備も不要です。

■経費を削減

一般的な飲食店の経費には、店舗家賃・光熱費・食材費・人件費などが必要ですが、ゴーストレストランでは、店舗家賃・光熱費・人件費などの経費を抑える事が出来ます。
また客席がないため、ホール従業員が必要なく、人件費削減にもなります。人材不足問題も解消され一石二鳥です。

■天候に左右されない

一般的な飲食店では、天候により売上や来店が減るケースは多く見受けられますが、元々、来店されることが無い上、悪天候の日は外出を控えることを予想されるので、いつもより売り上げが見込めます。
また生活スタイルに変化をもたらした、このコロナ禍で以前よりもゴーストレストランの需要は格段に上がっています。

■新メニューを取り入れやすい

飲食店で新メニューを取り入れる際は、メニュー表を新しく作成するなど、準備に時間を取られることもあります。
しかし、お客様用のメニュー表を作成する必要なく、タブレット内にメニューを追加するだけで、新メニューを簡単に取り入れることも可能です。

ゴーストレストランのデメリット

■集客プロモーションが困難

飲食店のようにウォークインのお客様を取る事が出来ません。また需要が格段に上がったメリットでもあるデリバリーは飲食店での導入が当たり前となっている現在、競争が激化しています。SNS運用やポスティング等で集客プロモーションが必要になります。

■接客・体験価値を提供できない

飲食店との最大の違いは商品の提供しか出来ないという事です。お客様の来店動機には、日常とは違う空間を求める心理が働いています。
空間以外にも、そこでしか得られない体験(=サービス)を求める心理も含まれます。この非日常な価値があるからこそ、お客様はわざわざ足を運んで下さるのです。
ゴーストレストランでは、この価値を提供出来ないという大きなハンデがあるので独自の差別化が必要です。

ゴーストレストランの導入

■必要な資格・許可

開業に必要な許認可は飲食店と同様「食品検査責任者」の資格と「飲食店営業許可」の2つです。また販売するメニューによっては、食品製造許可が必要です。一部ご紹介いたします。

➀菓子製造業

ケーキなどのデザート類や、クッキーなどのお菓子を販売する場合

※アイスクリームやシャーベットなど上記以外のものを販売する場合は別の許可が必要です。東京都の基準ではありますが左記URLをご参照ください。https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kyoka/kyoka_0.html

②そうざい製造業

コロッケやとんかつなどの揚げ物、肉じゃがなどの煮物、その他蒸し物、和え物などのお惣菜を販売する場合

③食肉製品製造業

自家製のハムやソーセージ、ベーコンなどの肉製品を販売する場合

④乳製品業

自家製のバターやチーズ、ヨーグルトなどを販売する場合

⑤酒類販売業免許

樽やボトルから注いだお酒を販売する場合は飲食店営業許可の範囲内となり、新たな許可を取得する必要はありません。しかし、デリバリーで酒類を販売する場合は必要です。

■デリバリー代行業者の選定

現状、デリバリーの需要が高まり、当初よりデリバリー代行業者は多くなっています。業者ごとにシステムや手数料は様々なので、事前に調べて慎重に選定する事をお勧めします。

■デリバリー導入の準備

以前のブログでデリバリーについてお話をさせていただきましたので、ご興味のある方は2021年11月の『―飲食業界withコロナの生存戦略―』https://www.chi-yo.jp/2021/11/?post_type=newsを参考にしてください。実店舗でのデリバリーと違いゴーストレストランは先述通り、集客プロモーションが難しいとされています。その困難な壁を打破するために重要なのが【お店のHP】と【メニュー構成】だと考えられます。

お店HP

デリバリー代行業者のポータルサイトには限られた情報しか掲載できません。お客様はポータルサイトで興味を持った後、そのお店についてWeb検索をするという消費者行動が多く見受けられます。お店のHPにコンセプトや、感染症対策をどのように行っているか、また商品の作り手やキッチン内の写真を掲載するなど、目で見た情報で、お客様に安心感持って頂けるようにWebマーケティングも大切な戦略の一つです。

メニュー構成

目的買いに沿ったメニュー構成をお勧めいたします。

例えば、味付けをする際は、濃い味や酸味、辛さなどを打ち出す。ライフスタイルに合わせる場合は、栄養バランスが偏っている方や、ダイエット中の方に向けた、味ではなく食事により得る事が出来るメリットに焦点を当てる。このようにメニュー構成を工夫することもポイントです。
ゴーストレストランは、様々なジャンルを取り入れやすい事がメリットでもありますが、コンセプトのブレが生じる危険性があるので専門店仕様のメニュー構成が良いとされています。

タイトル通り人材不足を解消できる事業として注目をされています。実店舗を活かした事業のセントラルキッチン。実店舗を縮小や、これから飲食業界へに参入を検討している企業向けのゴーストレストラン。


飲食業界が、新型コロナウイルス感染症の影響を、まだまだ受けているのは事実です。

決してネガティブに捉えるだけで終わらせることなく「食」を通して、お客様に提供するサービスは、時代に合わせて変化し、進化し続けているのです。

株式会社CHIYOとして実店舗でのデリバリー運営の実績はありますが、ご紹介した事業は今後、飲食業界に携わる皆様の、お力添えが今まで以上にできるよう、導入を視野に入れております。

株式会社CHIYOと共に飲食業界の新時代の開拓に、ご興味持って頂けたら幸いです。

是非お気軽にお問い合わせください。

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